起訴議決で、神戸第1検察審査会は「最高責任者として安全対策を指示すべき立場だった」ことを、井手正敬氏(74)ら歴代3社長の注意義務違反の根拠とした。審査を申し立てた遺族と同様、「トップが責任を負うのは当然」という市民感覚を反映させた判断といえよう。
今後、指定弁護士は、「起訴」に向け、検察官役を務めていかなければならないが、神戸地検が4年を超える捜査の末にたどりついた「刑事責任を問えない」との結論を覆す作業は容易ではない。
地検幹部は「3人を起訴するに足る証拠は一切ない」とまで断言している。起訴だけでなくその後の公判維持も見据えれば、膨大な量の捜査記録を精査したうえで、必要な証拠を得るために補充捜査を行わなければなるまい。
しかも、最後の犠牲者が亡くなった日から5年がたつ4月30日には、業務上過失致死傷罪の公訴時効を迎える。残された期間は1カ月しかない。
証拠に基づくプロの法解釈と市民感覚との間に、限られた時間でいかにして着地点を見いだすか。“民意による起訴”を体現していく指定弁護士に課せられる責任と負担は、極めて大きいといえるだろう。(神戸総局 塩塚夢)
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